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ミリタリーな戯言と独り言

軍事系戯言の坩堝
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2007/01/31
22:35
試作機の魔窟№.008 川崎試作急降下爆撃機キー66

ようするにどうでもよかったのか?

da2ec443.jpg今回は川崎航空機の結構日陰な存在キー66

第二次大戦頃の爆撃なんてのはいわゆる数撃ちゃ当たる戦法だった。なにせ照準器とかの儀装が未熟で優秀と言われたノルデン照準器でも風に流されたりするとあらぬ方向に行ったり、そもそも航法を間違えて違う町やもっとひどい時は違う国に爆撃することもあった。そこで機体を急降下させて命中精度を高めた急降下爆撃機が生まれて主にドイツ空軍(いわゆるルフトバッフェだな)と日米海軍が率先して運用したんだが電撃戦で活躍したJu87とか輸入したJu88とかの影響を受けたんだろう日本陸軍でも双発の急降下爆撃機を川崎に作らせることにした。川崎といえば三式戦のイメージが強そうだが九九式双軽とか九八式単軽みたいな軽爆撃機も結構手がけてたメーカーで、機体設計は九九式双軽のを流用していて見かけは九九式双軽の弟分みたいな感じになっていて爆弾500キロまでを搭載できてスノコ状ダイブブレーキを持っていて出来はまあ初めてにしては結構よかった。が、ところがドッコイ、元にした九九式双軽二型乙が50度までの亜急降下に耐えられることが分かって多少速度が速くて武装の少ないこの急降下爆撃機はキャラが被ってるという理由でお蔵入りにされた。そもそも陸軍も言い出したわりにはあんまり関心がなかったみたいでうやむやにされた感も結構強いものの陸軍が作った専用の急降下爆撃機はこれだけ、でも軽爆撃機とか襲撃機も急降下できたからやっぱりいらなかったんだろうな

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2007/01/16
00:51
試作機の魔窟№.007 アラドAr234ブリッツ

なんだ大したことないじゃん

a0c36a7e.jpgB-29とかJu86とかみたいに偵察機に転用される爆撃機ってのは意外と多い、与圧されてて高々度を飛べれば多少速度が遅くても迎撃機がよっぽど速くない限り上がってくる前に通り過ぎてるってな計算だ。で、逆の偵察機から転用された爆撃機は少ない、そもそも第二次大戦中の偵察機なんて複葉ありパラソル翼ありの戦術偵察機だからコレに爆弾つるしても直協機になる、っていうかそれは直協機だ。戦略偵察機に初めて目を付けたお国日本でも軽量化のために爆装はできなかったしモスキートだって原型案は爆撃機だったからな。それで本題のAr234は世界初の実用ジェット爆撃機で偵察機、大戦中期以降のドイツはジェットエンジが実用化できたのがあまりにもうれし過ぎみたいで爆撃機とか可変翼機とかデルタ翼とか次々といろんなジェット機を計画してほとんど完成しなかった訳なのだが、その数少ない完成したジェット機のひとつがAr234だったわけで最高速度740キロといえばミーティアで600キロ強、マスタングでも約703キロだから高性能なレシプロ機や寝ぼけた性能のジェット機じゃ追いつけないってことだ。とにかくAr234は当時としちゃかなりの高速だったわけなんだが初期のジェットエンジンは燃料を馬鹿食いするもんだからあまり長い時間飛ばなくてもいい戦闘機(それでもMe262はBf109の2倍は飛べる)と違って遠くまで飛んで偵察しなきゃいけない偵察機は燃料をたくさん積まなきゃならない、そこで技術者も考えた。「燃料をたくさん積むなら脚がなけりゃいい」そんなわけでAr234は離陸したらタイヤ付きの台車を切り離してすることにした。これならたしかに燃料スペースは節約できるものの着陸はソリでやるもんだから今度は危なっかしくてしかたない、いくらサスペンション付きでも衝撃はタイヤに比べれば強いだろうし一旦着陸すると方向転換できないのだ。それを見てさすがにヤバイと思ったのか結局タイヤ式に改められたのだが今度は総統閣下がこんなことを思い始めた。「待てよ、こんなに速いんなら爆弾吊るして爆撃機すれば戦闘機も追いつけない爆撃機が出来るんじゃないか?」こうして本来の偵察機型は少数だけで、爆弾を吊るせるようにした爆撃機型がメインで作られた。でもね、そもそも役立つはずの高速性のせいで命中率が極端に低くて数字上だと搭載量1500キロだけど高速飛行する時に爆弾は500キロしか積めない、しかも爆弾槽なんか作ると今度は燃料タンクが無くなって局地爆撃機になっちまうから爆弾は外付け、当然抵抗で性能も落ちる。つまりは命中率は低いしあんまり積むと性能が落ちるから相手に与える被害なんか本当に微々たるものだった。ちなみに偵察機にしろ爆撃機にしろ乗員が1人ってのは納得いかない、どっちにしろ長距離侵攻しなきゃいけないんだから航法がいるだろうし追尾する敵機を追い払う後ろ向き20ミリ機関砲もパイロットがペリスコープで狙って撃たなきゃならないのは辛いものがあるだろうよ

2006/12/31
04:28
試作機の魔窟№.006 フォッケウルフFw187ファルケ

こりゃ、採用されなくてよかったわ

a398df79.jpg

1930年代と言えばいろんな国で双発長距離戦闘機をモノにしようと頑張って結局モノにならなくていろんな駄作が生まれた(楽しい)時代で、今回紹介するFw187もそんな機体のひとつ

Fw187はタンク博士がDB600を搭載するとを前提で提案して補佐のR・ブラザーが設計した機体で、航空省をタンク博士が説得して製造させてもらうことになったんだが「DB600(1000馬力)は数が少ないからJumo210(700馬力)を使ってね」と言われてしまって「じゃあ」ということで思いっきり機体を洗礼して計器もエンジンナセルの部分に取り付けたりして胴体も細くした結果最高速度は予想値を上回って同時開発されてたBf110より速いし武装も7.92ミリ×4、20ミリ×2で強力だった。でもそれだけ、Fw187は速度を速くするために機体を絞りすぎて余裕が無くなって(Fw187の搭載量は爆弾だけではなく燃料とかもひっくるめて1300キロ、ちなみにBf110は自重と同じくらいつめる)武装の強化どころかエンジンのパワーアップすらできなくなってしまったのだ。ちなみに同じような話が東、日本から見れば北のお国ソ連でもあって高速高々度戦闘機のMig1と3は1200馬力の発動機で648キロを叩き出したけど重心位置が悪くて錐揉みに入りやすくて安定性は悪いし操縦は難しいし武装は少ないしで速度と上昇力以外いいとこまったく無しだった。話を戻すとFw187は機体設計としてはいいけど余力が無さ過ぎて使えないということで不採用、生産前型がフォッケウルフの工場の防空隊に就いた以外は特になし。

ちなみにあるサイトで高速で武装が云々なFw187を採用しなかったのは航空省のミスであるって言ってたけど多少速度が速いくらいじゃバトルオブブリテンでBf110と大同小異の結末だったろうし(少し長くなるけど作者の妄想にもう少しお付き合いください)搭載量からして航続距離もけっこう怪しい、夜戦機として使おうにもレーダーを詰める余裕もなさそうだし・・・・とか言う前に単座だから航法もレーダー要員も付けられないからそもそも夜戦機化はムリだと思うそうなるとFw187が駆逐機としてはダメだからMe210を無理矢理就任させたら空中分解事故多発でドイツ空軍だと一番安上がりな双発戦闘機改造の夜戦機が欠番なんて事態に、こう考えるとBf110が一番妥当な決断だった。いや運命って恐ろしいね

2006/12/23
01:48
試作機の魔窟№.005

三菱十四試局地戦闘機

894d348f.jpg

 

 

こりゃ(ホントに)酷い

思えばキー64とか三菱十二試陸上攻撃機改とか完っ全に参考元(パクリ元とも)の「世界の駄っ作機」の劣化コピーみたいな内容になってきたから今回は有名どころ雷電の試作型十四試局地戦闘機を

日華事変の時日本軍はソ連のSB爆撃機(エスベー)の空襲に苦しめられてて、なんでかって言うとエスベーの最高速度が450キロ、九六式戦(四号)が455キロで九七式戦はもうチョイ早くて460キロだから爆撃されてから迎撃しても追いつけないのだ。それで海軍は加速と最高速度重視の局地戦闘機を作らせたのだが作らせた相手が悪かった。よりによって三菱の堀越技師のチームのやらせたのだ。「なにがマズイ?」と思うかもしれないがこの時期はちょうど零戦が完成した時期で海軍からの支離滅裂な要求にようやく答えて「終わったー」ってな具合で手放しで喜んでたら今度はこんなのをやらされるんだから哀れとしか言いようが無い

そんな感じで開発を始めてみたら零戦のせいでコンディションは最悪、堀越氏を始めに関係者が過労でバタバタ倒れて行くってなグダグダ具合で開発は全然進まなくて(この辺の影響が零戦三二型の角型翼に出てる、これは堀越氏の病欠で一式陸攻の本庄技師がやって堀越氏はこの角型翼が嫌いだったとか)ようやく試作1号機が完成したのが昭和17年2月、機体形状は大型発動機を積みつつ抵抗を減らしたいから空技廠にお勧めされた紡錘型(葉巻型)にして胴体に発動機を収めてプロペラは延長軸で回すことに、それで冷却不足にならないように強制吸入ファンも付けて操縦席は抵抗の少ないファストバック、風防はなめらかな曲線で仕上げて(なぜかこの風防の前部はMe163のV1の風防に似てる、他人の空似か?)それで海軍でテストしたら操縦性も安定性も良かったけど最高速度が足りないしキャノピーの背が低い上に風防が曲面だから前が歪んで(戦闘機としては致命傷)前がよく見えないから着陸時の三点姿勢じゃ前方視界が“無”に等しいとかの欠点が出てきて海軍から風防とキャノピーを枠の多い大型への交換、プロペラを電動3翅から信頼性の高い4翅に変更、フラップの大型化、発動機を水・エタノール式のへ換装、強制吸入ファンを増速式に変更とかって言われてやったらこれが大アタリして発動機はうまく作動しなくて黒煙ばったか吐くしプロペラ剛性が足りなくて振動が発生、しかもそれがエンジンにも共鳴するもんだからなかなか原因が分からなくてようやく完成したのがガダルカナルなんかからとっくに撤退していろんな島で日本兵が玉砕しまくってるころで上昇速度は速かったけど着陸速度が速くて視界も悪くてパイロットなんか即席のヒヨッコばっかだから殺人飛行機(B-26マローダに有らず)とまで呼ばれて「こんなダメダメなのいるか!紫電作れ紫電!」って海軍に言われて(実話)雷電の生産は終了、でも紫電も紫電改も上昇速度が悪かったから「いや、やっぱもう一回生産!あとターボチャージャーも付けて!」とかトンチキなことをやってる間に終戦。しかもとどめが二発あって1発目がこれのせいで烈風の製作も遅れた。2発目は一式陸攻みたな葉巻型は抵抗が少なくて戦後の原子力潜水艦でも使われたけど実は雷電に関しては鍾馗みたいな頭でっかちのほうが結果的に抵抗が少ない、多分これは空技廠がいろんなモデルで空洞試験をしたんだろうけど単発機だとコクピット部分がエンジン部分より大きくなるから余計に抵抗が増えるという最後までグダグダな機体だった。

2006/12/16
02:58
試作機の魔窟№.004

川崎試作高速戦闘機キー64

20a9f5ff.jpg

 

 

 

三兎を追うものは燃え上がる・・・

ある人は問う「一番手っ取り早くエンジンの馬力を上げるにはどうすればいい?」ある人は言う「だったら2つのエンジンを繋げて1つのエンジンにすればいい」、そんなわけで実際にやってみた代表例がHe119で空気抵抗を減らすのと胴体に発動機が入ってて延長軸でプロペラを回してるせいで機首をガラス張りのビニールハウスみたいにしてなんとか視界を確保しようとしたけど結局ダメだったみたいで試作止まりになった。

でだ、九五式戦とか作ってたころの川崎でも同じような串刺型発動機を作ろうとしたけど使う発動機(ちなみに液冷、空冷だと奥が冷えにくくなる)の構造的から“不可”だったからあきらめてたらドイツからDB601のライセンス獲得の話が出てきてたからこれの国産型(ハ40)で念願の串刺型発動機を作ろうって話になった。ただ串刺型発動機の最大の問題は全長が長すぎて前方視界不良になることで、普通にやれば飛燕の機首×2なんて恐ろしくて想像できないことになる。ここでキー64の設計をした土井技師がまた頭のいい人で(土井技師の頭がいい話はキー88あたりでまたするかも)発動機を機首と操縦席の後ろに積んでこれを延長軸で繋いだのだ。こうすれば視界を確保できるし狙ったかどうかは知らないけど重量のバランスも均等になってい一石二鳥というわけだ。こうして生まれたのが日本最初で最後の2000馬力級発動機ハ201、こうして日本は形はどうあれ念願の大馬力発動機を手に入れたのだが2000馬力級を手に入れたのがよっぽどうれしかったのか力みかえったのかさらにすごいものを付けた。しかも2個、表面冷却器と二重反転プロペラだ。二重反転プロペラはともかく表面冷却器は多くの人が「なんじゃそりゃ?」と首を傾げつつ腕まで組むと思うので説明すると今までの角ばって邪魔な箱型ラジエーターじゃなくて主翼自体をラジエーターにして空気抵抗を少なくしようということだ。たぶん日本が輸入にたHe100に付いてたのを参考にしたんだろう。こうしてキー64は串刺型発動機プラス二重反転プロペラプラス表面冷却器といういままで成功した前例のないものの見本市みたいな機体になって作ってるうちに一つ目の問題が発覚した。当時の日本には二重反転プロペラに対応した可変ピッチがなかったのだ。最初は輸入しようとしたけど間に合わなくて仕方なく試験飛行の時は前が固定、後がハミルトンっていうありえねー組み合わせに、当然前が固定だからピッチなんか合わなくて一歩間違えればペラ同士が衝突して空中で砕け散るなんてことになるんだからパイロットは相当恐かっただろうな。で2個目、ラジエーターの面積が狭くなったから当然冷却水に掛かる圧力とか熱量とかが増えて飛行中にエンジンが発火、炎上した。幸い大事にはならなかったけどハ201の元になったハ40の性能向上型のハ140(ややこしいな)の改修とかで忘れられてそのまま終戦まで放置プレイされたとさ。最後にまとめると発想は良かったけど埋め込みすぎて飛ばしてみたらボロが出たって感じか?